ブロードウェイで見逃したあの作品がスクリーンで見られる! Shakespeare’s Glove On Screen

今年のトニー賞に7部門でノミネートされ、プレイ部門の助演男優賞と衣装賞を受賞した英国グローブ座によるシェイクスピアの『十二夜』の舞台が、今月、ご近所の映画館で観劇できる。

2013年の11月にブロードウェイでオープンするや批評家に大絶賛され、大人気のまま2014年2月に終演を迎えた芝居だ。

正確に言うと、今回映画館で観られるのはブロードウェイ上演時のものではなく、本家本元のグローブ座で上演されたもの。ブロードウェイでの上演時には、同じくシェイクスピアの『リチャード三世』と2本立てで日替わり上演された(『リチャード三世』は週に2回のみの上演)が、今回映画館で限定上演されるのは、『十二夜』の他に、グローブ座の『ヘンリー五世』や『マクベス』『テンペスト』『じゃじゃ馬ならし』『夏の夜の夢』の計6作品。

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Sam Wanamaker Shakespeare’s Globe founder 1919 – 1993 Photo by Tom Boulting

英国ロンドンのグローブ座は、ニューヨークで活躍していたアメリカの役者で監督のサム・ウォナメイカーが創設の旗を揚げ、資金をかき集めて作った劇場だ。

ウォナメイカーは、1950年代にハリウッドを縮み上がらせたマッカーシズムの赤狩りによりハリウッドのブラックリストに載った後、活躍の拠点をロンドンに据えた。シェイクスピアのグローブ座がシェイクスピアの国でもはや存在していないことに驚いていた彼は、1970年にThe Shakespeare Globe Trust(シェイクスピア グローブ座基金)を設立し、グローブ座の復興に心血を注いだ。

グローブ座は1997年にようやく完成し、『ヘンリー五世』で杮落しを迎えたが、残念ながらウォナメイカーはそれを観ること無く、その3年半前の1993年に亡くなってしまった。

ウォナメイカーの熱意と献身無くしてグローブ座が存在しなかったことについては、グローブ座の初代芸術監督で、ブロードウェイの『十二夜』でオリヴィア役を演じて3つめのトニー賞を受賞したマーク・ライランスが受賞スピーチでも話している。

マーク・ライランスのトニー賞プレイ部門助演男優賞受賞スピーチ

ちなみに、現在のグローブ座の正式名はShakespeare’s Glove。つまり、「シェイクスピアのグローブ座」というのが正しい。シェイクスピア・カンパニーが1599年に建てたグローブ座に似せて建築されたもので、現代の建築基準を満たしつつ、屋根の無い構造や、桟敷席など、エリザベス朝時代の芝居小屋を可能な限り忠実に再現したものだ。

昨年ブロードウェイで上演された『十二夜』と『リチャード三世』も、「シェイクスピアのグローブ座」の名のとおり、シェイクスピアの時代そのまま、というのが趣向。当時にならい、男性の役も女性の役も全て男性の役者が演じた。

特にその趣向が利いたのは喜劇『十二夜』のほうだろう。『十二夜』には男性になりすます女性が登場する。そこに、そのなりすまし男性に恋する女性と、なりすまし男性に恋する女性に恋する男性が登場し、なりすまし男性に恋する女性に恋する男性に、なりすまし男性が女性として恋をするのだ。それが全て男性によって演じられるのだからややこしく、喜劇性がさらに増す。

また、シェイクスピアの時代同様、誰もが気軽に芝居を見に行けるようにと、ブロードウェイでの公演期間中は毎回事前購入できる25ドル席が250席用意されたのも話題となった。

なんと言っても、ブロードウェイのチケットは高い。一番安い席が169ドルなんてミュージカルもあるくらいだ。例えTKTSで半額チケットを入手できてもまだ高い。ブロードウェイで格安のチケット手に入れるには、ラッシュチケットを狙って朝早くからボックスオフィス前に並ぶか、ロッタリーに参加するしかない。しかも、前日に買える一部のTKTSチケットを除き、全て当日買うしか手は無い。

ところが、どこにも並ばず、事前に格安値段でチケットがひょいひょいと買えたのだから、『十二夜』と『リチャード三世』のチケット価格と販売方法は画期的なことだった。(もっとも、ご想像のとおり、25ドルのチケットはとても人気があったので、ひょいひょい入手というわけにはいかなかったのだが。)

ラッキーにも25ドルチケットを入手し、この芝居を観て抱腹絶倒した人も、25ドルのチケットを入手し損なって悔しい思いをした人も、例えチケットは25ドルでもニューヨークまで旅行するにはそれ以上かかるとあきらめた人も、お近くの映画館の大画面で話題となった「十二夜」を観るチャンスがついに到来!

地域によって上映日は異なり、いずれの演目も1、2回上映されるだけなので、見逃さないよう上映日時を事前にしっかり調べ、いそいそと観に行くべし!

『十二夜』が気に入ったならば、順次上映されるシェイクスピアのグローブ座の他の芝居も是非!


Shakespeare’s Globe On Screen

オフィシャルサイト 

上映作品と米国内公開日:

  • Twelfth Night (十二夜):2014年9月16日〜
  • Henry V(ヘンリー五世):2014年9月30日〜
  • The Taming of the Shrew(じゃじゃ馬ならし):2014年10月14日〜
  • The Tempest(テンペスト):2014年10月28日〜
  • Macbeth(マクベス):2014年11月11日〜
  • A Midsummer Night’s Dream(真夏の夜の夢):2014年12月4日〜

チケット価格:映画館によって異なるが、おおよそ15ドル程度

*オフィシャルウェブサイトには、各地域の上映映画館と初回上映予定日時のみが記載されているので、オフィシャルウェブサイトでお近くの上映映画館を確認後、直接映画館のウェブサイトで正確な上映日時を確認することをお勧めする。

 

Top Photo: Shakespeare’s Globe Theatre – interior
Photo by John Tramper

 

シェイクスピア全集 (6) 十二夜 (ちくま文庫)

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