キャサリン・ゼタジョーンズ(Catherine Zeta-Jones)のブロードウェイ・デビューが話題のミュージカル”A Little Night Music“(『リトル・ナイト・ミュージック』)。
この作品には名曲、’Send in the Clowns‘(道化をよこして)がある。
切なく美しいこの曲は、ミュージカル初演時にデジレ・アームフェルド役を作り出したグリニス・ジョーンズ(Glynis Johns)が伸びやかに歌うのが得意でなかったため、彼女に合わせてソンドハイムが書きおろした曲だ。
ジョーンズはこのデジレ役でトニー賞を受賞している。
1973年のミュージカル初演以来、この曲は、泣くマフィアも黙るフランク・シナトラ(Frank Sinatra)や、映画007シリーズのテーマソングでおなじみの、ゴールドフィンガーなシャーリー・バッシー(Shirley Bassey)、甘い歌声で女どもをとろけさすビング・クロスビー(Bing Crosby)、フォークシンガーのジュディ・コリンズ(Judy Collins)などなど、多くの歌手やミュージカル俳優に愛されて歌い継がれてきた。
バーブラ・ストライサンドは、コンサートと新しいアルバムのためにソンドハイムに新たに歌詞を一連を書き加えてもらい、他よりも少し長いバージョンを歌っている。
ということで、歴代の女優達に歌っていただき、聴き比べすることにしよう。
グリニス・ジョーンズ(Glynis Johns)
最初はもちろんオリジナルのグリニス・ジョーンズ版。
デジレの昔の愛人フレデリック・エガマン役は、ブロードウェイの初演時にこの役を演じたオリジナルキャスト、レン・キャリオー(Len Cariou)。
エリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)
お次は1977年の映画版で主演した、エリザベス・テイラー。
上のジョーンズの動画にも出ているレン・キャリオー(Len Cariou)が共演している。
残念ながらこの映画のエリザベス・テイラーは、コルセットを締め上げすぎて失神しかけているのかと心配になるほど覇気が無い。
終始ぼーっとしていて、唯一ディナーのシーンで一瞬輝きを見せるが、続くこの動画のシーンではその輝きも消えているのが残念だ。
グレン・クローズ(Glenn Close)
3番目は1992年にグレン・クローズ(Glenn Close)がカーネギーホールでのコンサート、”Sondheim: A Celebration at Carnegie Hall“で歌ったもの。
コンサートバージョンなので、芝居の一部として歌われたものと比べるのは公平ではないが、そこはやはりトニー賞を3つも手にした大女優様。そんなことは全く感じさせないのである。
ジュディ・デンチ(Judy Dench)
そして4番目は1995年のロンドン、ナショナル・シアターでの名演が大絶賛された、こちらも大女優のジュディ・デンチ。
上の動画は残念ながらその時のものではなく、シアタープロデューサーであるキャメロン・マッキントッシュのキャリア30周年を讃える1998年に行なわれたガラコンサート、”Hey, Mr. Producer! The Musical World of Cameron Mackintosh“のものだが、これもコンサートで歌っているとは思えないほどシアトリカル。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
そしてこちらは、現在ブロードウェイで上演中のキャサリン・ゼタ=ジョーンズが歌う’Send in the Clowns‘の一部。
さて、どれが一番お気に召しただろう?
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