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“Not quite my tempo.”

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「少しわたしのテンポと違う。」

10年前の10月10日にアメリカでデイミアン・チャゼル監督の『セッション』 Whiplash (2014) が公開された。

『セッション』は架空の音楽学校を舞台にした心理ドラマだ。ニューヨークの名門シェイファー音楽院の一年生アンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、ジャズ・ドラマーとして成功し、伝説を残すことを夢見ていた。そんな彼が、指揮者テレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)率いる音楽院のスタジオ・バンドにドラマーとして加わることになった。このバンドに加われるのは名誉なこと。緊張しながらリハーサルに参加したアンドリューだったが、すぐにフレッチャーが生徒に暴力的な言葉を浴びせたり身体的な暴力を振るう指導者だと知る。

映画公開直後から巷で流行したこのセリフは、アンドリューが初めて参加したバンドのリハーサルで、メインのドラマーに代わってハンク・レヴィの「Whiplash」を演奏したときにフレッチャーがアンドリューに言うものだ。いや、実際は「言う」なんて生やさしいものじゃない。このセリフを使って生徒をいじめ抜くのだ。

J・K・シモンズは、これまではサム・ライミ監督の『スパイダーマン』Spider-Man トリロジーでピーター・パーカーが勤める新聞社の編集長としてコミカルな演技で知られていたが、この映画で彼が見せたフレッチャーの虐待性の鬼気迫る演技は多くの批評家に称賛され、翌年のアカデミー賞では助演男優賞を受賞した。

この映画の中でこのセリフがとても印象に残るのはシモンズの演技ももちろんのこと、このセリフで観客がアンドリューと一緒にフレッチャーという人物の虐待性を知るからだろう。このセリフを起点としてこの映画が描く心理ドラマの緊張感が一気に高まる。

フレッチャーの虐め、ののしり、虐待はこれ以降も続くので、この映画を見るのにはそれなりの覚悟が必要だ。

『セッション』
Whiplash (2014)

監督:デイミアン・チャゼル
脚本:デイミアン・チャゼル
製作:ジェイソン・ブラム、ヘレン・エスタブルック、ミケル・リトヴァク、デイヴィッド・ランカスター
撮影:シャロン・メール
編集:トム・クロス
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ

US公開日:2014年10月10日
日本公開日:2015年4月17日

Top Image:  Screenshot from Whiplash © 2014 Sony Pictures Classics

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