親戚のパリ転勤を機に、クリスマス休暇をパリで過ごすことにしたマカリスター家。だが出発の朝、どさくさに紛れてうっかり息子のケビンだけが家に置き去りにされる。
一人取り残されたケビンはうるさい家族がいなくなったと喜びながら一人暮らしを満喫中。だが、そんなマカリスター家を空き巣の二人組が狙っていたのだ。

1990年公開のジョン・ヒューズ製作・脚本、クリス・コロンバス監督映画『ホーム・アローン』(Home Alone)は、クリスマスの時期に一人家に取り残されてしまった少年ケビンの冒険を描いたコメディ映画だ。
世界的に大ヒットし、ケビンを演じた子役のマコーレ・カルキンを一躍大スターの座に押し上げた作品でもある。
この映画の中に、わたしが長年憧れていたあるモノがゴージャスに登場する。
マカロニ・アンド・チーズだ。
マックンチーズと呼ばれるこのアメリカコンフォートフード、ハリウッド映画やアメリカのテレビドラマにちょくちょく登場する。
たいていは「料理は不得意です」「面倒だから料理しません」というオーラを発したキャラクターたちが、電子レンジでチンして台所のカウンターや冷蔵庫にもたれながら食べている。
まるでたくさんのイモムシが黄色いドロドロの液体の中で溺れているように見える少々グロテスクな見た目。それにもかかわらず、どのキャラクターも皆美味しそうにスプーンやフォークですくってパクパク食べているのだ。
「アメリカに行ったらぜひとも食べてみたい!」
とわたしに夢見させたこのマックンチーズが、映画『ホーム・アローン』では特別豪華にサーブされる。
ロウソクが灯る燭台が並び、ナイフ&フォークがフォーマルにセッティングされたテーブルにケビンが座る。
中央にあるのはチェダーチーズ色のマックンチーズが盛られたディナープレート。
その皿を前にケビンが食前の祈りを捧げる。
“Bless this highly nutritious microwavable macaroni and cheese dinner and the people who sold it on sale. Amen.”
(この栄養たっぷりなレンジでチンできるマカロニ&チーズのディナーと、それをセールで販売してくれる人々に祝福あれ。アーメン。)

わたしがこのマックンチーズを初めて口にできたのは2004年のことだ。
東京からニューヨークへの引越し早々、近所のスーパーで箱入りのマックンチーズを発見し、早速買ってみたのだ。
箱の中から出てきたのはかなりの量のマカロニと袋入りの粉チーズ。
まるでインスタントラーメンの袋の中身で、作り方もインスタントラーメン並みに簡単。
マカロニを茹で、牛乳大さじ3と好みで無塩バター大さじ2を温めたところに袋入り粉チーズを加えて溶かし、そこに茹でたマカロニを戻して混ぜるだけ。
要は溶かしたチーズで和えたマカロニで、味はまるで温かい「カールチーズあじ」。思わず麦わら帽をかぶって首に白い手ぬぐいを巻きたくなる。
日本の喫茶店の人気メニュー、マカロニグラタンが一瞬脳裏に浮かぶが、あちらはベシャメルソースがベースのおハイソな味。こちらはズドンとストレートなチーズ味。しかも少しぼやけた味だ。
だが、これがどうして、食べていくうちに病みつきになる。
味が単調だと思ったときは、友人Nから薦められた七味唐辛子ときざみ海苔をトッピングしてアクセントをつける。これが意外に良く合うのだ。
秋の夜長、マックンチーズのボールを片手にソファーに深々と座ってテレビを見るのは至福のひと時。
いや、なんなら冷蔵庫にもたれて食べても良いのだが。
Featured Photo: Home Alone © 20th Century Fox
Amazon Link
Reblogged this on at 527 and commented:
アメリカに行ったらやってみたかったことの一つがこれ
LikeLike