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“Follow the money.”

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「金の流れを追え。」

1972年6月17日、アメリカ合衆国大統領選挙戦の真っ只中の夜に、民主党全国委員会本部が入っているワシントンDCのウォーターゲートビルで侵入事件が起こる。そのビルで働いていた警備員がドアに不審なテープが貼られていることに気づき、警察に通報、ビルに侵入していた5人の男が逮捕された。

当初は単なる侵入事件と見られていたが、やがてこの男たちが共和党のニクソン大統領再選委員会の関係者で、民主党本部に盗聴器をしかけようとしていたことが明らかになる。ニクソン政権側は自分たちは無関係だと主張していたが、ワシントン・ポスト紙の新人記者ボブ・ウッドワードと先輩記者のカール・バーンスタインの取材により、この事件に政権内部が深く関与していることが明らかになる。そして1974年8月9日、ニクソン大統領はアメリカ合衆国史上初めて大統領職を辞任する大統領となる。俗に言うウォーターゲート事件だ。

ウッドワードとバーンスタインは、この調査報道の始まりから1973年7月のアレグサンダー・バターフィールド大統領副補佐官による録音テープの存在(大統領執務室での全ての会話が自動的に録音され、テープが保存されているという事実)の暴露に至るまでを手記にまとめ、『大統領の陰謀 ニクソンを追いつめた300日』All the President’s Men として出版する。それを映画化したのが1976年のアラン・J・パクラ監督映画『大統領の陰謀』All the President’s Men だ。

このセリフはその映画の中、ロバート・レッドフォード演じるボブ・ウッドワードが事件解明につながるヒントを求めて政権内部の重要人物で匿名の情報提供者、コードネーム「ディープ・スロート」(ハル・ホルブルック)と密会する会話の中に登場する。

情報の断片しか集められず、事件の全体像が見えずに行き詰まったウッドワードにディープ・スロートがこうアドバイするのだ。

「金の流れを追え。」“Follow the money.”

「金の流れを追う」ことは事件捜査の基本。ウッドワードとバーンスタインは金の流れを追いかけるうちに不審な選挙資金の流れに気づき、やがて侵入事件の全貌を明らかにしていく。

映画は調査報道記者の取材プロセスとジャーナリズムの緻密な報道プロセスを淡々と詳細に見せていく。彼らが時間をかけて忍耐強く調査取材する様子がこれでもか、これでもかと見せ続けられ、その描写に圧倒される。それと同時に権力を監視するジャーナリズムの役割の重要さを思い知る。

『大統領の陰謀』
All the President’s Men (1976)

監督:アラン・J・パクラ
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
原作:カール・バーンスタイン、ボブ・ウッドワード『大統領の陰謀 ニクソンを追いつめた300日』
製作:ウォルター・コブレンツ
撮影:ゴードン・ウィリス
音楽:デイヴィッド・シャイア
編集:ロバート・L・ウォルフェ
出演:ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン、ジャック・ウォーデン、マーティン・バルサム、ハル・ホルブルック、ジェイソン・ロバーズ、ジェーン・アレクサンダー

US公開日:1976年4月7日
日本公開日:1976年8月7日

Top Image: Robert Redford as Bob Woodward in  All the President’s Men © Warner Bros.

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