「ケビン!」
日本の師走同様、アメリカでもクリスマスの時期には多くの人が休暇をとって帰省したり、家族旅行をする。皆せわしなく移動して駅や空港があちこちごった返すもんだ。そんな中で起こるドタバタを扱ったクリスマス映画も数多く作られているが、中でも代表的なのがマコーレ・カルキン主演の『ホーム・アローン』Home Alone だろう。1990年に公開されたジョン・ヒューズ製作・脚本、クリス・コロンバス監督のコメディ映画だ
シカゴに住む裕福で子沢山のマカリスター家は、今年のクリスマスは親戚家族総出でパリ旅行を計画している。出発の前日に親戚たちもマカリスター家に集まるが、夜中に起こった停電のせいで目覚まし時計が作動せず、家族全員が大寝坊してしまう。一家は大慌てで空港向かうが、そのどさくさの中、前夜に屋根裏部屋で寝る羽目になったケビン(マコーレ・カルキン)だけがうっかり家に置き去りにされてしまうのだ。
映画はそのケビンがたった一人うちで過ごす数日を描いた冒険コメディだが、この名セリフはケビンの母親ケイト(キャスリン・オハラ)がケビンを家に置いてきたと気づく名シーンに登場する。
なんとか間に合ってパリ行きの飛行機に搭乗したが、どうも何か大切なことを忘れているような気がする。ガスでもなければ家の鍵でもない。ガレージのドアか? いや違う。
「ケビン!」
このキャスリン・オハラの表情とそれを真正面から捉えたカメラ、そしてこのセリフに詰め込まれたどうしようもない切迫感! そこにさらにコメディ要素までが乗せられて、このシーンは映画ファンに愛される名シーンになった。
映画公開後から今に至るまであちこちで引用され、パロディにもされてきたが、数年前にはケビン・ハートと一緒に出演したチェイス銀行のCMで、オハラ自身がセルフパロディするに至る。
このCMの中で彼女が言っている通り、この「ケビン!」というセリフは、もはやクリスマスの伝統なのだ。なんせ、今年もまた新しいCMが作られたほどだ。
『ホーム・アローン』
Home Alone (1990)
監督:クリス・コロンバス
脚本:ジョン・ヒューズ
製作:ジョン・ヒューズ
撮影:ジュリオ・マカット
音楽:ジョン・ウィリアムズ
編集:ラジャ・ゴズネル
出演:マコーレ・カルキン、ジョー・ペシ、ダニエル・スターン、ジョン・ハード、キャスリン・オハラ、ジョン・キャンディ、キーラン・カルキン
US公開日:1990年11月16日
日本公開日:1991年6月22日
Top Image: Screenshot of Catherine O’Hara in Home Alone © Twentieth Century Fox (1990)

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