「昔、ある日のこと、…ある日突然、…みんながお互いを必要としていることに気づいたのです。」
感謝祭が近づくと見たくなってしまう映画の一つが2003年に公開されたピーター・ヘッジズ監督の『エイプリルの七面鳥』Pieces of April だ。
エイプリル(ケイティ・ホームズ)はマンハッタンのローワーイーストサイドにある安アパートでボーイフレンドのボビー(デレク・ルーク)と一緒に暮らしていた。家族とは疎遠で、特に母親のジョイ(パトリシア・クラークソン)とは反りが合わず仲たがいしているが、今年の感謝祭は家族全員を招待してディナーを共にすることにした。それというのも乳がんで余命いくばくもない母ジョイにとってはこれが最後の感謝祭になるかもしれないからだ。
感謝祭の朝、エイプリルの両親ジョイとジム(オリヴァー・プラット)、妹ベス(アリソン・ピル)と弟ティミー(ジョン・ギャラガー・Jr)、そしてジョイの年老いた母(アリス・ドラモンド)は、郊外からマンハッタンへの長距離ドライブを開始する。ジョイは悲惨なディナーになると悲観的な予想ばかりし、ベスはことあるごとに引き返そうと提案し、ティミーは家族の写真ばかり撮っている。
一方マンハッタンではボビーがエイプリルの家族に好印象を与えるためにスーツを手に入れようと奔走する。エイプリルはアパートで一人、感謝祭のディナー作りに奮闘していたが、いざメインディッシュの七面鳥をオーブンに入れようとした時、オーブンが壊れていることに気づく。感謝祭で大家とも修理屋とも電話が繋がらず、このままでは七面鳥をローストできない。ジョイのために良い感謝祭にするよう父ジムから釘を刺されていたエイプリルは、同じビルに住む会ったこともない他の住人のドアを叩いてオーブンを貸して欲しいと助けを求めるのだった。
このセリフは、エイプリルがオーブンを貸してもらおうと訪ねた同じビルに住む中国人一家に感謝祭について説明するシーンに登場する。
何度か説明を試みてはやり直していたエイプリルが、最終的にたどり着いたのがこれ。
「昔、ある日のこと、…ある日突然、…みんながお互いを必要としていることに気づいたのです。」(”Once, there was this day… this one day when… everyone realized they needed each other.”)
エイプリルのこのセリフは感謝祭を簡単に説明したものだが、この日、感謝祭のディナーを作ろうと奮闘するエイプリルの身に起こったことをそのまま表現したものでもある。
言葉を交わしたことがない赤の他人でも、誰もがお互いを必要とする日が来る。機能不全に陥った家族が普段は距離をとって暮らしていても、1年に1日くらいお互いの存在に感謝する日があっても良い。
感謝祭が近づくたびにこの映画を思い出してはそう思い、毎年七面鳥をローストしたくなるのだ。
『エイプリルの七面鳥』
Pieces of April (2003)
監督:ピーター・ヘッジズ
脚本:ピーター・ヘッジズ
製作:ゲイリー・ウィニック
撮影:タミー・レイカー
編集:マーク・リヴォルシー
出演:ケイティ・ホームズ、パトリシア・クラークソン、オリヴァー・プラット、デレク・ルーク、アリソン・ピル、ジョン・ギャラガー・Jr、リリアス・ホワイト、イザイア・ウィットロック・Jr、ショーン・ヘイズ、シスコ
US公開日:2003年10月17日
日本公開日:2004年10月30日
Top Image: Screenshot from Pieces of April © United Artists (2003)

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