映画と舞台と海外ドラマ

“Your word is who you are.”

by

「君の言葉こそが君そのものなのだ。」

トム・クランシーのジャック・ライアン小説シリーズからの映画化3作目『今そこにある危機』 Clear and Present Danger が1994年に公開された。フィリップ・ノイス監督、ハリソン・フォード主演のポリティカル・スリラー映画だ。

ジャック・ライアン シリーズはCIA情報分析官のジャック・ライアンの活躍を追ったクランシーの代表作で、1990年の『レッド・オクトーバーを追え!』The Hunt for Red October の映画化を始めとして、これまでにたくさんの作品が映像化されている。

主役のジャック・ライアンは1作目の『レッド・オクトーバーを追え!』ではアレック・ボールドウィンが演じ、2作目の『パトリオット・ゲーム』 Patriot Games (1992)と3作目の『今そこにある危機』ではハリソン・フォードが演じたが、3作を通してライアンの上司、ジェームズ・グリーア提督を演じたのは先日亡くなったジェームズ・アール・ジョーンズだ。

このセリフはアメリカ政府上層部に不穏な動きがあることを発見したライアン(フォード)が、死の病に倒れて入院中の上司グリーア提督(ジョーンズ)を訪れて相談するシーンに登場する。政府内部の動きを追うべきか悩むライアンにグリーア提督は、ライアンのボスが誰なのか、自分が誰なのかを思いださせる。

出典:Rotten Tomatoes MOVIECLIPS Official YouTube チャンネル

この有名なセリフに続くまでのセリフはこうだ。

“You took an oath, if you recall, when you first came to work for me. And I don’t mean to the National Security Advisor of the United States, I mean to his boss… and I don’t mean the President. You gave your word to his boss: you gave your word to the people of the United States. Your word is who you are.”
思い出したまえ。君は最初に私の下で働くことになったとき、宣誓をしたはずだ。米国国家安全保障顧問に対してという意味ではない。その上司に対してという意味だ。だが大統領のことではない。君はその上司、つまりアメリカ国民に誓ったのだ。君のその言葉こそが、君そのものなのだ。

公務員のボスは直属の上司でもなく政府のトップでもなく、そのさらに上にいるもの、すなわち主権者の国民だ。CIAの情報分析官としてとして働くことを誓った時、ライアンはアメリカ国民のために働くことを誓ったのだ。その自分の誓いの言葉通りに動くかどうかがその人間の人物を決める。

30年前に公開された映画だが、このシーンでジェームズ・アール・ジョーンズが説得力ある声で口にするグリーア提督のこの名セリフは、全ての政治家や官僚、公務員が定期的に聞くべきだろう。

『今そこにある危機』
Clear and Present Danger (1994)

監督:フィリップ・ノイス
脚本:ドナルド・スチュワート、スティーヴン・ザイリアン、ジョン・ミリアス
原作:トム・クランシー『いま、そこにある危機』
製作:メイス・ニューフェルド、ロバート・レーメ
撮影:ドナルド・M・マッカルパイン
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:ハリソン・フォード、ウィレム・デフォー、アン・アーチャー、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ジョアキム・デ・アルメイダ、レイモンド・クルス、ベンジャミン・ブラット、ソーラ・バーチ

US公開日: 1994年8月3日
日本公開日:1994年12月10日

Top Image: James Earl Jones in Clear and Present Danger  © 1994 Paramount Pictures

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください