「やかましい音を立てないで。私が死ぬ音が聞こえないでしょ。」
『ダウントン・アビー』 Downton Abbey は英国で2010年から2015年まで放映され、世界中で大人気となった時代ものテレビドラマシリーズだ。
1910年代から1920年代のイギリス、ヨークシャーにある架空の貴族屋敷ダウントン・アビーを舞台に、その屋敷で暮らすグランサム伯爵クローリー一家とそこで働く使用人たちの生活を描きつつ、英国貴族やその屋敷で働く人たちが時代の変化にどう対応していくかを歴史的な出来事を絡めながら紡いでいく。
女性は爵位と財産を相続できなかった時代。グランサム伯爵ロバート・クローリー(ヒュー・ボネヴィル)には三人の娘がいたが息子がいないため、後継ぎは従兄弟と決まっていた。ロバートは自分の子孫に爵位と財産を継承させるため、長女のメアリー(ミシェル・ドッカリー)と従兄弟の息子を結婚させる取り決めにしていたが、タイタニック号の沈没で従兄弟とその息子が亡くなってしまう。
TVドラマシリーズ『ダウントン・アビー』は、この爵位と財産の相続問題と、娘たちの恋愛、結婚の行方をソープオペラ風ドラマ仕立てで豪華に見せていき、一世を風靡した。合計6シーズンが製作、放映され、放映終了の数年後には登場人物たちのその後を追った映画も2本公開された。
長年愛されたシリーズには人気のキャラクターが’いるものだが、『ダウントン・アビー』シリーズの中でもダントツに人気があるのはロバートの母で、隠居した先代伯爵夫人ヴァイオレット・クローリー(マギー・スミス)だ。
ヴァイオレットはシリーズを通して伯爵家の最年長者としての威光を存分に発揮し、自分の意見を戸惑うことなく簡潔且つ痛烈に口にしてその場にいる人たちを黙らせる。しかも、彼女の言葉はいつも洞察力に富み、時にユーモラスで、ソープオペラ風ドラマの中の心地よい刺激だった。このドラマを見るのはヴァイオレットが何をいうかを知りたいからというファンも多かっただろう。
このセリフは2022年に公開された2本目の映画『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』Downton Abbey: A New Era の中でヴァイオレットが言う。死の床にいる自分を見て啜り泣く侍女グラディスをいつものように叱りつけるのだ。
出典:Focus Features Official YouTube Channel
高慢で、残酷で、辛辣で、でも優しさを持つヴァイオレットを人間味溢れた深みある女性として演じたマギー・スミス。彼女が9月27日に他界した。89歳だった。
『ダウントン・アビー』のヴァイオレット名場面集
『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』
Downton Abbey: A New Era (2022)
監督:サイモン・カーティス
脚本:ジュリアン・フェロウズ
原作:ジュリアン・フェロウズ『ダウントン・アビー』
製作:ギャレス・ニーム、リズ・トラブリッジ、ジュリアン・フェロウズ
撮影:アンドリュー・ダン
音楽:ジョン・ラン
出演:マギー・スミス、ヒュー・ボネヴィル、エリザベス・マクガヴァン、ジム・カーター、ミシェル・ドッカリー
UK公開日: 2022年4月29日
US公開日: 2022年5月20日
日本公開日:2022年9月30日
Top Image: Maggie Smith in Downton Abbey: A New Era © 2022 Focus Features Pictures

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