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“Don’t think, feel!”

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「考えるな、感じるんだ!」

1973年に公開されるや世界中でカンフーブームを巻き起こしたブルース・リーの『燃えよドラゴン』(龍爭虎鬥)Enter the Dragon 。この映画の中の名セリフと言えばやはりこれだろう。

武術の達人のリー(ブルース・リー)は少林寺の高弟として弟弟子たちを指導する立場だった。そのリーの元に英国情報局が訪ねてくる。香港裏社会の大ボスと噂される人物ハンの正体を暴くため、ハンが主催する武闘トーナメントに出場して探ってほしいと依頼しにきたのだ。ハンの手下のせいで姉を失っていたリーは、ハンに復讐するためにトーナメントへの参加を決意する。

このセリフは映画の序盤、リーがまだまだ修行が必要な弟弟子を指導する場面で登場する。リーは、怒りをこめて技を出してしまう弟子に、技は感情の塊(”emotional content”)として出すのだと叱責し、自分を相手に技を披露してみろと指示する。感情の塊として技を出せるようになった弟子にリーが今どう感じたかと問う。その問いに「考えさせてください」(Let me think.) と応えた弟子の頭をピシャリと叩き、リーが言うのがこのセリフだ。

これだけでなく、このシーンでリーが弟子に言う一連のセリフが全て素晴らしい。

Don’t think, feel! It is like a finger pointing away to the moon. Don’t concentrate on the finger, or you will miss all that heavenly glory. Do you understand?考えるな、感じるんだ! それは月に向かって指をさすようなものだ。指に意識を集中してはいけない、さもないと素晴らしい輝きをすべて見逃してしまう。わかるか?)

この映画でブルース・リーが見せるカンフーアクションが世界をあっと言わせ、ブルース・リーは世界的なアクションスターになった。だが、映画が公開された時には残念ながら彼はすでに亡くなっていた。この映画の大ヒットにより、日本ではリーの前作3本が続々と(1971年製作の『ドラゴン危機一髪』が1974年4月に、1972年製作の『ドラゴン怒りの鉄拳』が1974年7月に、1972年製作の『ドラゴンへの道』が1975年1月に)公開され、巷では怪鳥音と呼ばれるブルース・リーの「アチョー!」という叫び声のモノマネも大流行りした。

2023年はブルース・リーの没後、そしてこの映画の公開から50周年だった。

『燃えよドラゴン』(龍爭虎鬥)
Enter the Dragon (1973)

監督:ロバート・クローズ
脚本:マイケル・オーリン
製作:フレッド・ワイントロープ、ポール・ヘラー、レイモンド・チョウ
撮影:ギルバート・ハッブス、チャールズ・ロウ
音楽:ラロ・シフリン
出演:ブルース・リー、ジョン・サクソン、ジム・ケリー、シー・キエン、ヤン・スエ、アーナ・カプリ

香港公開日:1973年7月26日
US公開日:1973年8月19日
日本公開日:1973年12月22日

Top Image: Bruce Lee in Enter the Dragon © 1973 Warner Bros.

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