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高すぎる『Jersey Boys』のチケットと、悠々自適の年金生活

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Jersey Boys - Original Broadway Cast

今、ブロードウェイのミュージカルでチケットの値段が一番高い作品は何かといえば、2006年のトニー賞ミュージカル部門作品賞を受賞した『Jersey Boys』(ジャージー・ボーイズ)。

ニューヨークのお隣、ニュージャージー州出身のグループ、ザ・フォーシーズンズ(The Four Seasons)のサクセスストーリーを描いたミュージカルだ。

ザ・フォーシーズンズというのは、アメリカではザ・ビートルズ(The Beatles)よりも人気があったと言われている4人組のイタリア系アメリカ人シンガーグループ。いわゆるグループサウンズである。

何年か前にローリン・ヒルがカバーした「君の瞳に恋してる」(CAN’T TAKE MY EYES OFF YOU)を覚えていないだろうか? あるいは、「シェリー」(SHERRY)や「恋はやせがまん」(BIG GIRLS DON’T CRY)、「恋のハリキリ・ボーイ」(WALK LIKE A MAN)はどうだろう?

いやいや、たとえ「そんな曲は知らんなー」と言っていても、いざ曲を耳にしたら「あー! それなら知ってる」と歌いだすはずだ。そのくらい、ザ・フォーシーズンズとボーカルのフランキー・バリ(Frankie Valli)は後世まで残る名曲をいくつもいくつもこの世に送り出したのである。

で、そのザ・フォーシーズンズの誕生から解散、そしてメンバーの現在までの物語を丁寧に描き、彼らのヒット曲をたっぷりと盛り込んだミュージカルがこの『ジャージー・ボーイズ』。そして今、ブロードウェイで一番強気の値段設定をしているショーなのである。

現在のブロードウェイミュージカルのチケット価格は、オーケストラと呼ばれる一階のお席がだいたい$110。しかし、それが『ジャージー・ボーイズ』は他よりちょっぴりお高い$115。しかも、これが週末になるとさらに高くなって$120になる。

また、他所のショーでは、二階の一番後ろの端っこの席は$60くらいで売り出されているのに、『ジャージー・ボーイズ』ではなんと$96.50。それより安い席は立ち見しかない。

おまけに、2001年の『ザ・プロデューサーズ』のヒット以来、ブロードウェイでは一部の席を「プレミアムチケット」と称して倍以上の値段で正規販売するのが流行っている(ちなみに、わたしはこの販売方法を「自家製ダフ屋販売」と呼んでいる)。

他所では$200~250くらいの「プレミアムチケット」も、『ジャージー・ボーイズ』ではなんと$300。週末は$350もするのである。

「なんじゃあ、こりゃあ?」と思わず『太陽にほえろ』のジーパン刑事、松田優作になるくらい衝撃のお値段。そう。鼻血どころか、腹から血が出てしまうレベルなのだ。

いや、確かにこのミュージカルはとても良い。
なんと言ってもザ・フォーシーズンズの曲はすばらしいし、観劇後は曲を口ずさみながら街を歩いている自分を発見するくらいだ。

主役フランキー・バリ役でトニー賞を受賞したジョン・ロイド・ヤングが、ぶっとい八の字眉毛を平行になりそうなくらいに下げながらファルセットで歌うのを聴いていると、不覚にも母性本能を刺激されて胸キュンしてしまうくらいである。

その上、観客のノリがものすごくいいので、観ていてスカッと気持ちがいい。これはきっと、60年代にザ・フォーシーズンズと共に青春時代をすごしたと思われる爺ちゃん婆ちゃん達が、身体をゆすりながら舞台上の俳優達と一緒に歌ってくれるせいだろう。皆、若かった当時の熱狂を思い出しながら、キャーキャー喜んで、いやもうノリノリ! そんな観客に囲まれていると、こちらまで楽しくなってしまうのだ。

おまけに、ミュージカルで歌われる歌はすべてザ・フォーシーズンズがライブで歌っているという設定だし、王道ミュージカルに良くあるように、歌でストーリーや登場人物の感情を語って物語を動かすということがない。だから、たとえ英語にハンデがあっても、ミュージカルが苦手でも楽しめるのである。

そう。このミュージカルは、ブロードウェイでノリノリの観客達と一緒になって観てこそ価値のある、まさにブロードウェイで見るべきお勧めの作品なのだ。

しかし、いかんせん、チケットがとれない!
とれても高いっ!

えーい、こんちきしょう!
あのノリノリの爺ちゃん婆ちゃんたちは、きっと悠々自適の年金生活者。$350くらい屁でもないんだろうよ!

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